正負の遺産

私は古代遺跡が大好きである。これまで世界中を旅し様々な遺跡を見てきたが、中でもエジプトの遺跡群は群を抜いて圧巻であった。

紀元前2500年頃に造られたといわれているギザの大ピラミッドは、今でもどうやって造られたのかははっきりとは分かっておらず、現在でも世界中の研究者の議論の的となっている。

そして、数ある遺跡の中で私が最も好きなのは、紀元前1280年頃に造られたといわれているアブ・シンベル大神殿である。入口のラムセス2世の座像の迫力もさることながら、毎年10月22日と2月22日の年に2回、太陽の光が神殿内部を通過し、神殿の壁と奥の4体の像のうち、冥界神の像を除いた3体を照らすように設計されているという、信じられないほどに方角、角度、大きさが精密に計算されて建設されている。しかも巨大な岩を彫り込んで造られた典型的な岩窟神殿であるから、彫る前に全てを緻密に計算してからでないとこのようなものは造れない。

しかしエジプトにおいて最も驚愕すべき事実は、4000年以上も前に造られた遺跡を見るために今も世界中から多くの観光客や研究者がやって来るということである。エジプトの外貨収入源として観光業の占める割合は大きい。つまり古代のエジプトの王たちは、未だにエジプトの経済に貢献し人民たちを護っているのである。

それにひきかえ、子孫のことなど考えず「今だけ、金だけ、自分だけ」と原発を推進し放射線廃棄物をどんどん増やし、汚染水は海に放出する、○○○○のいいなり日本政府。かたや有害物質だらけのソーラーパネルを環境に優しいとうそぶき、大切な森林を大量に伐採してソーラーパネルを設置しているが、寿命が来た後のパネルの処分については何も考えていない忖度ばかりのお粗末な行政。全ては利権、利権、そして利権である。ウクライナ、ウイグル、ミャンマー・・・も

しかし「最大の罪は無関心」といわれるように、無関心で何も考えない国民こそが一番悪いのである。いつまで対岸の火事と思っているつもりか。明日は我が身と真剣に考え、子や孫の世代に胸をはっていられるように生きるべきである。

日本事務局 松本