1.なぜ学校・職業訓練所を建設するのか?

 学校や職業訓練所を建設する理由は、一言でいえばラオスなどでは学校建設に十分な資金が行き渡らないからです。本来はそれぞれの政府が責任を持って行うことでありますが、政府の学校建設を待っていては、目の前にいる女性や青少年の「学ぶ機会」がどんどん減っていってしまいます。NGOが政府に変わって学校等を建設していくことには「甘い」などの声もありますが、それでも女性や青少年にとって、学ぶ機会が失われていくことは、「その手に技術を、アジアに自立を」を活動してきて我々にとって、見過ごすことのできないことです。

 また、新しくできた学校あるいは職業訓練校で、女性や青少年が笑顔で一生懸命を学んでいる姿をみると、彼女ら/彼らが人生の一歩を踏み出すために必要なことであったのだと感じることできます。

2.建設した学校・職業訓練所の教員の声

ラオス職業教育開発機関 縫製コース教員 ウドンペット アーパイワン先生

  私は、IV-JAPANがラオス職業教育開発機関に職業訓練所を建てたときから、ここで縫製コースの教員をしています。この建物ができたことにより、多くの人々が職業訓練を受けることができるようになりました。多くの女性がここで、ラオスの伝統的なスア(ラオスの女性用のシャツ)とシン(ラオスの女性用のスカート)の作り方を学び、自分のお店を開くことができるようになりました。私はここで教え、自立した女性が多く育っていったことをとても誇りに感じています。

 現在はノンフォーマルの職業訓練ではなく、フォーマル教育(短期大学)の縫製コースを開講しています。実技では、IV-JAPANで職業訓練プログラムを多く取り入れており、ノンフォーマルのときと同じように多くの女性が縫製を学んでいます。1つ違うことと言えば、卒業生の中に他県の職業教育校の縫製コースの教員になる者がいることです。IV-JAPANの職業訓練プログラムの内容が、ここでの教育を通して、形を変えながら、全国に伝わっていっています。

3.ドナーの方の声

文京学院大学 元教授 伊藤 裕子先生

ハンドオーバー時の記念写真
ハンドオーバー時の記念写真

 IV-JAPANから、ビエンチャン都教育局の職業訓練所(理美容、調理、縫製)に加え、より多くのラオスの人々が職業訓練を受けることができるようにラオス職業教育開発機関の敷地内にもう1つ職業訓練所を立ち上げたいという話を聞きました。

 日本が明治時代、教育に力を注いだことが、日本の今日の繁栄を導いたとの思いから、ラオスの人々の一助になればと考え、職業訓練所の建設費用を寄付することにしました。この職業訓練所は、今でも大切に使われ、多くのラオスの人々が縫製などの技術を身に付け、それにより新たな人生を歩み始めています。このことは、私にとって大きな喜びです。

 ラオスでは、ドイツをはじめ他の国々の訓練施設も見せてもらい、それは立派な施設に驚きました。日本には、まだまだ「寄付文化」が根付いていませんが、自分のお金を他の人々のために使うことは素晴らしいことだと考えています。

 上記の職業訓練所の他に、子どもには「あなたには一銭も残さない!」と半ば強引に了承を取り付け、小学校や幼稚園も寄付しました。その代わり職業訓練所には、自分の子どもの名前をとりMizuki Training Centerと名付けました。

 私のお金により、1人でも多くの人々が貧困から抜け出し、幸せな人生の一歩を歩んでくれることを望んでいます。