1.マイクロファイナンスとは

 日本語にすると小口融資となり、貧困の緩和を目的としているところに1つの特徴があります。IV-JAPANでは、職業訓練の修了生が、ブティックや木工工房などを開くことで、貧困を脱することができるよう起業のための資金を貸し出しています。ただお金を貸し出すのではなく、職業訓練の中でスモールビジネスマネジメントという教科を設け、その中で事業概要、事業計画、資金計画、返済計画などを作り方を教えます。訓練生は、この教科を通して、実際に自分自身が行いたい事業案を作ります。事業案が実現可能な場合には、ミシンを買うあるいは木工機械を買う資金として、500ドルから1,000ドルをマイクロファイナンスとして貸し出しています。

2.マイクロファイナンス利用者へのインタビュー

木工職業訓練修了生 ダーピアルアン リーヴォントーさん

1.何県の出身で、現在どこで家具工場を開いていますか? 

 サイソンブン県ナムキヤン郡出身で、モン族の出身です。生まれ故郷のサイソンブン県ナムキヤン郡で家具工場を開いています。数年前まで外国人が入ることが制限されていた県のためもあり、なかなか手に職をつける機会はありませんでしたが、IV-JAPANの職業訓練のおかけで家具作りの技術を身に着け、なおかつ生まれ故郷で家具工場を開くことができました。

2.IV-JAPANの木工トレーニングはどうでしたか?

 日本の木工技術を体系的に学ぶことができて本当に良かったです。木の選び方、製材の仕方、ほぞとほぞ穴の作り方、塗装の方法など、家具作りの基礎をしっかり学ぶことができました。おかげさまで、私の住む地域で「もっとも良い家具を作る家具工房」を作ることができました。職業訓練で学んだ技術は、ラオスでは見ることのできない技術ばかりで、このような技術で作られた家具を他の家具屋さんでは見たことがありません。おかげさまで、開業から今まで多くのお客様に恵まれています。

3.IV-JAPANのマイクロファイナンスや役に立ちましたか?

 はい。とても役に立ちました。IV-JAPANのマイクロファイナス制度がなければ家具工房を開くことができませんでした。卒業後から現在まで、この家具工房のおかげで、家族の生活を支えることができています。また、生活のレベルも大きく向上しました。

4.将来の夢や展望はありますか?

 現在の家具工房の場所が狭いので拡張したいと考えています。今の広さでは、場所が狭く作業がしにくく、木工機械を増やすことができません。家具工房を拡張することができれば、新しい木工機械を置くことができ、家具作りのスピードが早くなり、また作ることのできる家具の種類を増やすことができます。

3.ドナーの声

マイクロファイナンス・ドナー 大野 宏江さん

大野 宏江さん

 私は、ガールスカウトの活動を通して、地域のことから世界のことまで、興味関心を持ち、問題の解決に努めてきています。この縁から、1992年2月【ガールスカウト富山リーダー研修会】で、講師として来県された富永さんとお会いしました。先進国と途上国の間にある【南北問題】の解決のためには、女性の自立のための教育が必要であり、【カノック奨学金】により多くのラオス人女性が技術を身に付けていることを知りました。多くの女性が、美容師などとして自立した生活を送ることができるようになることは素晴らしいことだと感じました。

 このことをきっかけに、幼い娘達に「お年玉でオモチャを買うのを我慢して、外国にお友達をつくらない?」と話し、これがドナーの始まりとなりました。

 年に数回送られてくる奨学生からの手紙やIV-NEWSで職業訓練の大切さを感じていたところ「職業訓練ができても起業資金がなくせっかく学んだ技術を活かせない人がいる」という話を聞きました。自身の節約ほどの金額で、誰かの人生のチャンスが創れるならと思い、最初はミシンローンを始めました。少しずつ増額していき、ミシンの購入に限定されないマイクロファイナンスにと規模を大きくしていきました。美容室を開きたい修了生がシャンプー台購入したり、木工工房を開きたい修了生が木工機械を購入したりできるようになりました。最近では、起業して頑張っている方の報告もあり、微力ながらお役にたてていることをとても嬉しく思っています。

 最後になりますが、以前経営していた飲食店の店名が「夢屋」でした。これから起業される方にも夢を持って頂きたいと思い、「夢屋マイクロファイナンス」という名前で支援を続けたいと思っています。