「テレジンの子どもたち」を語りつぐ~野村路子さんとの出会い~

利根川恵子

私はIV-JAPANのほかに、川越ワイズメンズクラブ⦅Y’s Men’s Club of Kawagoe)というYMCAをサポートするために設立された国際奉仕団体にも所属をしています。埼玉県内には、埼玉YMCAの3カ所のセンター(浦和、所沢、川越)にそれぞれワイズメンズクラブがあり、その3クラブが5月に合同例会を開き、卓話者としてお話を伺ったのが、野村路子さんとの出会いでした。

野村さんは、1989年、旅先のプラハで、アウシュビッツで殺された子どもたちが、テレジン収容所にいた時に描いた絵と出会い、日本で紹介したいとチェコ国立博物館と交渉して、貸し出しを受け、1991年に「テレジン収容所の幼い画家たち展」を開催しました。以来30年にわたり、この展覧会を継続して実施するとともに、数少ない生還者へのインタビューを重ね、数々の著書を出版するとともに、精力的に講演活動、国内外の関連施設へのツァーの実施など、「テレジンの子どもたち」を語りつぐことに生涯を捧げていらっしゃいます。

チェコのプラハから北へ60㌔ほどの小さな街であるテレジンの収容所に送られてきた子どもたちは1万5千人もいたそうです。つらい収容所での生活で子どもたちは笑顔を失い、ドイツ兵を怒らせないようにひっそりと暮らしていました。そのような子どもたちに少しでも楽しい時間が持てるようにと女性画家のフリードル・ディッカーさんが子どもたちに絵を描くことを教えました。1945年、収容所が開放されたとき、4千枚の絵が出てきたそうです。この絵との出会いが野村さんの平和への願いを突き動かし、30年にわたって絵を通じた平和へのメッセージを発信し続けていらっしゃいます。野村さんは85歳になられますが、ご講演では立て板に水のごとく、途切れることなくお話になられますし、本の執筆、講演と精力的に活動なさる姿にはただただ感銘を受け、畏敬の念を禁じ得ません。野村さんのお姿を拝見し、ボランティアとしての私の生き方に大きな力をいただいたような気がします。曲がりなりにも、少しでもよりよい世界、社会を作るためにできることを細々とやってきましたが、さらに継続してできることをできる範囲で、健康が守られている限り励んでいきたいと思います。

なお、IV-JAPANが参加しているさいたま市国際NGOネットワークが毎年開催している「わくわくグローバルフェスタ」に、今回、野村さんを講師としてお迎えすることができることになりました。2023年2月11日⦅土⦆午後1時30分からです。詳しくは添付のチラシをご覧ください。当日はテレジンの子どもたちの絵も展示されます。また、ハイブリッドで行いますので、遠方の方も容易に参加いただけます。多くのみなさまのご参加をお待ちしております。