先人の知恵

理事 利根川恵子

 去る6月10日(土)、11日(日)と熊本市で開催された会議に出席し、会議終了後、帰りの飛行機の時間まで余裕があったので、熊本城に行ってきました。6年前の2016年4月14日と16日に震度7の地震が2度も襲うという希に見る災害が起こったことは皆様もご記憶かと思います。私は一年後の2017年に熊本城を訪れ、その被害の大きさとともに、あちこちで崩れ落ちた石垣の石、一つ一つに番号を振り、元通りに戻す作業が行われていることに言葉には表せないほどの驚きを感じたものでした。

 熊本城は、1607年に加藤清正が築城したお城で、400年以上にわたり、日本の様々な歴史の重要な舞台となってきました。と同時に、地震による被害も何度か受けていて、特に1889年の金峰山地震では、今回の熊本地震のように、石垣がかなり崩れたようです。 

 400年以上も前に、機械も使わずにあれだけの大きなお城とお堀など周囲の整備ができたことがまず驚きです。そして何度となく地震や戦禍で傷ついた建物や石垣などを修復してきた人の力にも畏敬の念を覚えます。

昨年、5年の年月を経て、熊本市民の誇りと言われる大天守閣、小天守閣、および宇土櫓の修復が終わり、中にも入れるようになりました。雲一つ無い青空に凜とそびえる大小天守閣と宇土櫓は、自然の脅威を謙虚に受け止め、しかしまた立ち上がる人間の強さを象徴しているかのようでした。

私の長年の夢は世界遺産、主に文化遺産の踏破です。先人の残した計り知れない技術や美は、賞賛に値します。IV-JAPANは、職業訓練を通じて人を育てていますが、技術だけでなく、自然を愛し、大切にする心、文化を理解し伝える心、など、先人の知恵を大切に守り伝えることも意識して指導ができたらと願います。その点では、冨永代表がラオスで茶道や日本の文化の普及に献身していらっしゃることに、敬意を表します。

ラオスには世界文化遺産が3件あると知りました。ルアン・パバンの町、チャンバサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群、シェンクワーン県ジャール平原の巨大石壺遺跡群です。IV-JAPANに長く関わりながら未だラオスを訪れておりません。ぜひ、ラオスの職業訓練の実態を視察しながら、世界遺産巡りをしてみたいものです。

 なお、熊本城の完全修復にはさらに30年かかるそうです。この目で完全修復のお城をみることはできそうもありませんが、生きている間は、応援していきたいと思います。

熊本城の修復成った大小天守閣と宇土櫓(左端)

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