ラオス北部の職業教育校に行ってきました。

木工プロジェクト、プロジェクトマネジャーの田澤克之です。

 現在、IV-JAPANでは、JICA草の根技術協力事業「ラオス木工職業教育校におけるトレーナーの技能向上プロジェクト」を実施中です。このプロジェクトでは、カウンターパートのラオス職業開発機関(以下、VEDI)と協力して、ラオスの職業教育校の教員・学生への家具製作指導、Youtubeへの家具製作動画のアップロードなどの活動を行っています。

 5月1日から14日までラオス北部の職業教育校を訪問し、IV-JAPANとVEDIが実施した家具作りのトレーニングに参加した木工学科の先生方の授業を見学してきました。それぞれの学校で、一生懸命に学生にトレーニングで学んだ技術を伝えようとしているところを見ることができました。

1.ポンサリ県職業教育校

 ポンサリ県職業教育校のシンサイ先生は、2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りのトレーニングと2022年に実施した短期テーマ別研修に参加しました。シンサイ先生は、とても若い先生ということもあり、2019年の家具作りのトレーニング後のモニタリングでは経験不足を否定できず、授業を途中で切り上げさせ、VEDI木工科教員と当会の木工トレーナーが午後の授業のアドバイスを行い、午後にもう一度授業をやりおなさました。しかし、その後、オンラインなどを通して、VEDI木工科教員と当会の木工トレーナーが木工のアドバイスを続けた結果、3年間で大きな成長を遂げ、2022年の短期テーマ研修では成長した姿をみせてくれました。SNSのグループの投稿でも他の職業教育校の木工科教員からも「家具作りが上手になっているんじゃないか!!」とコメントを寄せられるほど成長を見せてくれました。今回のモニタリングでも、その成長した姿をみせてくれましたが、何よりも嬉しかったのが学生たちが楽しそうに家具作りをしていることでした。この学生たちがの笑顔が、何よりもシンサイ先生の技術力・指導力の成長を証明してくれていました。

2.ルアンナムター県職業教育校

 ルアンナムター県職業教育校のソムサワット先生は、2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りのトレーニングに参加しました。ソムサワット先生は、木工の技術力・指導力があるだけでなく、パソコンも得意でCADやスケッチアップを使って図面を描くこともできます。当日は、CADなどで作成した家具図面を取り入れた授業プリントを用意して学生に指導を行っていました。もちろん学生への説明も明確で、30代の木工科教員の中では、一番の実力者ではないかなと個人的には考えています。

3.ボケオ県職業教育校

 ボケオ県職業教育校のブンロート先生は、2022年にVEDIで実施した5日間の家具作りのトレーニングに参加しクッション椅子を作りました。ブンロート先生は、木工専門の教員でないものの学校では木工を教えなければならない状況にあります。まだまだ技術力不足である部分はありますが、従来のタッカー(大きなホチキスのようなもの)を使わずに、正確なホゾとほぞ穴をあけて家具を作るように努めていました。VEDIで学んだことを活かしながら、少しずつで良いので、木工の技術を身につけていって欲しいと考えています。

4.ウドムサイ県職業教育校

 ウドムサイ県職業教育校のウタイ先生は、2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りのトレーニングに参加しました。家具を製作するときには、細かいことですが、気をつけなければならないことがいくつもあります。例えば、定規の端の部分を使って測ると、欠けていることあったりして正確なサイズが測れないので、端の部分を使わずに測るのが基本です。細かいことなので、ついつい多くの人が分かっていながらも定規の端の部分を使って長さを測ってしまいます。しかし、ウタイ先生は、このような細かいことの大切さを学生に伝えながら、学生を指導していました。また、本人曰く「雑な仕事は嫌い」ということで、コア木工科教員研修で学んだことを活かした家具作りの指導をしています。

5.ルアンパバーン県職業教育校

 ルンパバーン県職業教育校のウタイワン先生は、2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りのトレーニングに参加しました。ウタイワン先生は、本来は彫刻の先生ですが、家具製作も学びたいということで10週間の家具作りのトレーニングに参加しました。学校では彫刻の指導が中心とのことですが、当日はキャビネットの製作の様子を見せてくれました。彫刻の先生としての実力があるだけあり、木工の指導でも分かりやすく丁寧に学生たちに指導を行っていました。

6.サイニャブリ県職業教育校

 サイニャブリ県職業教育校のサイロム先生は、2018年と2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りのトレーニングに参加しました。サイロム先生は、授業プリントを作成し、また、授業前には必要な手工具等を準備していました。授業が始まってから「あれがない、これがない」と探すこともがなく、また、先生が事前にプリントを使ってその日の流れを説明していることから、学生たちは無駄なく効率的に家具作りを学ぶことができていました。また、学生の活動をじっくり見ていて、その都度適切なアドバイスを学生にしていました。

すべての学校で、コア木工科教員研修で学んだ成果を活かした授業が行われていました。プロジェクトは、来月で終了となりますが、コア木工科教員研修やその後のフォローアップで学んだことを、継続して学生たちに指導をしていってもらえることを期待しています。

 

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