地方の学校の木工教育を見てきました。

 IV-JAPANは、JICA草の根協力事業「ラオス木工職業教育校におけるトレーナーの技能向上プロジェクト」を実施中です。

 2019年に、ラオス職業開発機関(以下、VEDI)と一緒に、家具作りのトレーニングを実施しました。このトレーニングには、ラオスの地方の木工科教員にVEDIに来てもらい、日本人専門家の指導の下、家具作りの技術や家具デザイン、木材乾燥について学んでもらいました。

 先月、上記のトレーニングに参加した10校のうち、サラワン県、サワンナケート県、カムワン県の職業教育校の木工科教員の指導をモニタリングしてきましたので、それぞれの学校の活動を紹介します。

🔳サラワン県職業教育校

 木工科教員のソムサイ先生が、トレーニングに参加しました。学校では、木工を教えているものの、専門は建築という先生のため、トレーニングの内容をどれくらい学校で実践してくれているか不安な部分がありました。この不安が当たった部分もあり、トレーニングのときは少し違う方法で家具作りを行っていました。しかし、IV-JAPANの木工トレーナーとVEDIの木工科教員が、正しい方法を伝えたところ、もう一度学生に正しい方法を指導をしてくれました。ラオスの木工教育は、学校によっては、建築木工学科というように一緒になっていて、木工専門の先生がいない場合もあります。そのため、せっかく木工を学びたくて入学したのに、木工を専門に勉強した先生がいないという問題が発生することがあります。

🔳サワンナケート職業教育校

 木工科教員のピントーン先生がトレーニングに参加しました。ピントーン先生は、木工の家具作りそのものより、パソコンを使ったデザインを得意とする先生です。トレーニング参加当初は、木工機械の扱い方にぎこちない部分が多く見られましたが、トレーニングを通して正しい木工機械の使い方を学び、自信をもって木工機械を使えるようになりました。トレーニング終了後には、家具製作の様子をSNSに投稿してくれていて、今回のモニタリングでピントーン先生の授業を見るのをとても楽しみにしていました。

 しかし、スイス支援の村落部の小学校の教育環境整備プロジェクトに従事しているため、モニタリング実施場所が職業教育校ではなく、村落部の小学校となってしまいました。大型の木工機械がない中、電動手工具のみを用いて、木製の遊具(滑り台とシーソー)を製作していいました。小学校の校庭という環境の中のため、精巧な家具作りはできていませんでしたが、電動手工具の使用方法等を、安全な使い方を含め、適切に指導している様子を見ることができました。

🔳カムワン県職業教育校

 木工科教員のコンサワン先生が、トレーニングに参加しました。コンサワン先生は、彫刻も得意な木工科教員で、木工の技術が高いだけなく、製作した家具に彫刻を施すこともできます。SNSに、トレーニングで製作したキャストを学校で製作し、彫刻を施した様子を投稿してくれていました。今回のモニタリングでも、トレーニングで習得した知識や技能を、学生が理解できるように丁寧かつ明確に説明していることが分かりました。特に、日本人木工科専門家が強調していた、最初に裁断する場所や、ノミをいれる場所に正確に線を書き込むことが何よりも大切であるということを学生にしっかり指導していました。ラオスでも、もっとも知識・技能が高い木工科教員の一人です。

 サラワン県、サワンナケート県、カムワン県のそれぞれの先生は、得意とすることも、それぞれの知識や技能も違いますが、皆がトレーニングで学んだことを学生に伝えようとする姿を見ることができました。