『第2のふるさと作り』プロジェクト⑧

講座8 外国人相談演習2 (11月25日、講師:芳賀洋子さん

前回に続いて講師は、芳賀洋子さんでした。講義の前半では、受講生が提出した「つぶやきシート」のまとめを基にして前講座の活動を振り返りました。その後、後半は事例研究を行いました。

今回の講義は、講師と受講生が対話しながら進められたのですが、その中で、受講生の皆様は新しい発想のヒントとなるお話も伺がえたのではないでしょうか。

講義の途中で、前日ラオスから帰国したIV-JAPANの冨永幸子代表が、短時間ではありましたが講義の様子を参観し、ご挨拶させていただきました。

<講座の内容(簡単なまとめ)>

~外国人相談演習2~

1.前回の講座(演習)の振り返り

スランカ人のサンジさん、ナディさん、ミャンマー人のピョーさんが参加した前回の演習を振り返る。受講生が提出した資料を使って進められた。


資料:受講生が書いた「つぶやきシート」の内容を項目別に整理したもの(一部省略)

〈印象的だったこと・気づき〉

・3人の外国人の方々が、読み書きは別にしても日本人との会話に何の問題もなく、どれほどの努力をされたのかと頭が下がる思いでした。優秀な方が多いですね。

これまでスリランカの方と話す機会がなかったので、また、いつかは行ってみたいと思っていた国なので、今回のチャンスでとても身近な存在(国)となり嬉しかったです。

色々な話を聞けば聞くほど、優秀な方がどんどん海外に流出してしまうのでは?と複雑な気分が少しありました。実際に話すと、働ける制度があり働けることが幸せ、お互いハッピーと仰っていたのが印象的です。

〈自分たちの常識・思い込み・当たり前がちがう〉

これまでの講座で経験した文字は、基本的には、ローマ字のルールになっていました。だから、日本語の「ひらがな」の方が、他の国と違うということなのか?と思いました。シンハラ文字とビルマ文字のルールが似ていましたので、二つの国の関係を調べたくなりました。

自己紹介時に、姓と名の区切りを質問したところ、ミャンマーでは、一部の民族を除き姓はないとのこと。新たな知識を得るとともに、自分の思い込みに気づかされました。

〈優しい日本語コミュニケーション〉

相手の反応を見て理解できていないとき「例えば・・・」というとわかってもらえたこと。

初対面だと、やさしい日本語を意識しても、ついつい、難しい言葉(敬語)を使ってしまいます。

・できるだけ日本語だけで話して、わからないところは絵を見て指差したりして、結構理解できて、楽しかったです。スリランカのカレーの話やミャンマーの料理の話に聞き入りました。日暮里のミャンマー料理のお店を教えてもらったので行ってみようと思っています。

〈疑問に思ったこと〉

・相手の出身国の文字を使って自分の名前を書く、絵本の利用・・の他に、外国製品の売り場から何か探してきて共通の話題づくりができるようにしたいのですが、そのツールを選ぶポイントを教えてください。

・日本語の上達の速さは、文法が似ている言語の方が早いのでしょうか?今回のミャンマーの方は、「文法が似ているので・・」と言っていました。以前関わった方が、「中国人より韓国人の方が、上達が早いと」言っていました。

〈その他・私たちにできること〉

ちょっと気になったのは、スリランカ、ミャンマーの政情です。両国とも不安材料を抱えているようです。その背景を抜きにして、話しあうことに、いえ、十分に話せないだけに落ち着かない気持ちになりました。絵本を通してお互いの暮らし、文化を知ることは楽しかったのですが、彼女たちが本当に日本でしたいこと、知りたいことは何だろうと思いました。

・行政でも在住外国人の方々に、日本で生活していくための相談等の窓口がありますが、その情報すら知らない方々もいる中で、隣人としての日本人として、ある種行動しなければならないと思いました。

・日本の印象を聞くのを忘れました。


受講生A:今、ガザやウクライナでの状況が報道され、注目されていますが、講師の方からゲストでみえた方達の背景を伺い、アジア圏での問題にも改めて気づかされました。そして、それに対応するには自分は非力だという思いに至りました。横浜など他県では行われている日本語指導の体制が埼玉ではなされてないという実態があるのも、道の遠さを感じました。日本語講師の指導方法にも、形だけの指導で問題があるということにも、よく日本語講師の育成講座の案内を広報などで見るのですが、その内容にも改善が求められるのでしょうか?一般的な話から具体的な話が聞けるようになったことに 一歩前進を感じてはいます。

受講生B : 今回は、前回の演習でのそれぞれの感想や気づきをもとに、実例をもとにどう対応するのが良いかを ディスカッションしました。 自分が気づかなかった気づき等は、勉強になりました。同じグループで演習(外国人と会話)をしていても、記憶に残っている事や気づきが違いますね。それぞれ、アンテナはっている事(興味がある事)が、自身の記憶に残り気づきに繋がっていくのだと思います。これからも、多くの気づきを得られるよう、アンテナを多方向に沢山たてていきたいです。

2.事例研究


学校に行った方がいいのか?

来日した児童Aの両親は、日本人Bと中国人Cである。これまで中国で暮らしていたので、Aは、日本語がほとんどわからない。子どもが日本の小学校に通うことになって、Bは、自分が教えるから、ひらがなぐらいの基本的なことを覚えてから学校に通わせたいと考え、Cは、環境が大事だから学校に行かせたいと考えている。

※実際に扱った事例では、より具体的なことが知らされている。


受講生C:「取り出し授業」や「10才の壁」などがあることもわかりました。 実際に外国の方と接する時には、我々の共感と学び合いの精神で、 根気よく努力して行くことが一番大切なことだと思います。

受講生D: 自分の気づかない感想が沢山ありました。やはりいろいろ人が関わるのは良いことだと思いました。 勉強させるということは苦痛になりがちなので、楽しく活動しながら 日本語が身につくように、いろいろな場面を工夫して提供できることが大事だと思いました。

受講生E:8回目の講座では外国にルーツを持つ子供が日本の学校に入るという事例を皆で考えましたが、現状の学校教育にも、まだ改善点があるのではないかと強く感じました。言葉の問題だけでなく、子供が安心して、新しい環境やお友達と知り合える時間と機会とそれを見守る大人が周りにいることが必要なのではないかと思いました。

=受講生の感想(これまでの講座を受講して)=

・知人の紹介でこの講座を受講することになり、軽い気持ちで参加しましたが、回数を重ねるごとに外国の方々との接し方を色々学ぶことができ勉強になりました。 私の娘の夫も外国人で、最初戸惑いがありましたが、彼は日本に来て8年目で日本語で話してくれたので助かりました。 彼の話では、日本では銀行や役所関係の手続きが難しかったり、家を中々借りられなかったり、常に外国人登録カードを持ち歩いていないといけなかったり、色々苦労が絶えなかったようです。 私たち日本人は外国人に対してもっと理解を示し、支援や援助をしていかなければならないと思いました。

・現在の私の生活の中で外国の方々と接する機会はほぼなく、この講座は積極的に参加したわけではありませんでした。 ただ、今までマスコミ等から得るだけの外国および外国人に関しての浅い情報だけであったのが、 毎回素晴らしい講師の方々によって、目からウロコ状態が続き、外国の方々の理解を深めることが出来たのではないかと思います。 講座参加の機会を得られてラッキーでした。日本で暮らしている日本人の自分に何ができるだろうかとしばらく模索が続きそうです。 最後に改めて講師の方々、関係者の皆様にお礼を申し上げます。