ラオスで最大のお祭り「ボートレース」

ビエンチャンのボートレース祭りのおはなしです。

ボートレース祭りの前日に雨季明けの行事があります。

〈オークパンサー(出安居=であんご)〉

2022年の今年は10月10日が陰暦11月の満月に当たり、オークパンサーと呼ばれる「出安居」に当たり、雨季明けになりました。雨季の3カ月の間、僧侶はお寺にこもって静かに修行に励みます。それに倣って一般の人々も結婚式などの晴れの行事は控え、禁酒や禁煙、菜食をする人も多くいます。3カ月間はお坊さんだけでなく、熱心な仏教徒は禁欲生活をします。人々は10日の早朝からお寺にお参りして、先祖供養をします。

私の家の隣がお寺で毎朝5時にはお寺から太鼓の連打するのが聞こえますが、オークパンサーの日は3時半ごろには太鼓の音が聞こえ、朝6時からは大音響で音楽がお寺から流れてきて、とても賑やかです。村の人が朝からお参りしますが、お布施をするたびにお坊さんがお経を唱えてくれますが、マイクで全部聞こえてきます。およそ500円から1000円とかが多いのですが、20円のお布施もあります。お布施の額に関係なくお祈りしてくれます。自分の功徳になるとともに、そうやって地域のお寺を支えることになります。

静かだったお寺が急にぎやかになります。

〈ローソク祭り〉

そしてその夜は家中にろうそくの火をともし、カトーンというバナナの葉で作った花かごの中にろうそくと線香や花を飾って、いわゆる灯篭流しをします。

先祖供養、家内の平安と川の守り神ナーガ―(龍神)に生きるために欠かせない水を与えてくれることへの感謝をして、メコン川に流します。私はメコン川まで行けなかったので、庭にローソクをたくさん灯しました。

仏教と自然崇拝のアニミズムが混ざった、もう数百年前からの伝統行事です。

カトーンは屋台で300円から500円前後で買うこともできます。

〈ボートレース〉

翌日はいよいよボートレースです。3カ月間の雨安居(うあんご)の終わりで、皆解放感に浸って喜んでいます。特にコロナ過で今年は3年ぶりの開催でした。1週間前からメコン川沿いには屋台がいっぱい出て、ビールをはじめ、ラオラオというラオスのお酒、食べ物から、衣服、おもちゃ等々たくさんのお店が出ています。娯楽の少ないラオスですので、毎晩たくさん出歩く人で道路は隙間もないくらいにぎわっています。

川沿いの村には1本の木を伐りぬいて作られた細長い30メートルくらいのボートが、お寺に保管されていて1年に1回の出番を待っています。

村でこぎ手に選ばれた55人の屈強な若者が数週間前から練習を始めます。

優勝することは村の名誉になりますので、皆、真剣です。でも優勝カップと共に賞金も魅力で、銀行やビール会社など民間会社が100万円相当額~10万円等多額の賞金を出します。

メコン川の水量により出発地点が変わりますが、今年はワットチャン寺院から、ランドマーク・メコン・リバーサイド・ホテルの間のおよそ2キロで競漕されました。

1回に2台の船で争います。朝から日没まで、6台から10台の船が出ますが、1日では終わりませんので、レースは2~3日続きます。今年は当初26台のボートがエントリーしたと聞いています。

ボートはカテゴリーが3種類あって、女子伝統ボートが最初に行われます。次に男子伝統ボート、それと歴史が浅い短いボートで競うスポーツボートがあります。

1990年代後半から2000年にかけてボートレースは「伝統」か「スポーツ」かという論争がありましたが、今では誰もかまわず、ただ、雨季明けの一大イベントのお祭りになっています。ボートレースの前に村では母なる川の化身に若い女性が選ばれ、ボートの無事と川の神ナーガー(龍神様)に感謝をささげる儀式を行い、一大イベントへ出発します。

〈火の玉ロマン〉

満月の夜にはビエンチャンから国道13号線の60キロ地点の郊外のパクグム村で、メコン川から火の玉が上がるのが見えると言われています。つまり龍神様が空へ上るのだそうです。私も大昔に食事やビニールシートを用意して行ってみましたが、もう人、人がいっぱいで、場所取りが大変で、駐車場探しやトイレ探しに苦労しました。ようやく暗くなってジーっと待つのですが、高い夜空ばかりを見上げていましたが、対岸のタイ側が電気で明るくて良く見えないのです。もっと川の土手の低いところを見なさいと言われました。

「見えた、見えた」という人もいましたが、私は残念ながら分かりませんでした。

最近はメコン川の地下から1年に1回ガスが湧き出てくるというのが結論のようですが、

龍神さまが天に上ると思う方がロマンがありますね。

今年も火の玉を見る人で大変にぎわったようです。

代表理事 冨永 幸子