ラオスの言語

 元IV-JAPAN職員で、現在理事の飯村 浩です。

 まずはこの写真をご覧ください。

 ラオスで使用されているパソコンのキーボードは、ほとんどが英語キーボード(右)かタイ語キーボード(左)です。ラオスは多民族国家で、公式では50民族を数えますが、その内の半数以上を占めるラオ族の言語であるラオス語(ラーオ語)が公用語ですが、残念ながらラオス語キーボードは製造されていません。そこでラオス語キーボードステッカーが販売されていて、それを貼っている人も多くみます。

 ご存知の方もおられるかもしれませんが、ラオス語とタイ語はよく似ており、通訳を介さなくても概ね意思疎通ができます。特にタイのテレビ番組を子どもの頃から観ているラオス人は、ほぼ完璧にタイ語を理解します。また文字も類似しているため、SNSや携帯、スマホ等ではタイ文字を使ってラオス語を表現する人もいます。

 学校では公用語であるラオス語で授業が行われていますが、少数民族の特に小学校低学年の子どもは必ずしもラオス語が得意ではありません。ラオスでは小学校でも落第があるため、ラオ族でない子どもがラオス語を十分に理解できないことが原因で落第したり、学校に通わなくなるケースもあります。IV-JAPANが長年取り組んできた職業訓練プロジェクトの多くが、ノンフォーマル教育局と実施されてきましたが、このノンフォーマル教育は元々、上記のような理由で初等教育を終了できなかった人向けに、識字教育や初等教育を行ってきて、その後に発達した職業訓練にIV-JAPANは長年貢献してきました。

 上記のように、ラオスは多民族国家ですが、少数民族の中で最も多いのがモン族(Hmong)で、ラオスの人口の8%以上を占めます。実はモン族にも多数のグループが存在し、言語や習慣が少しずつ異なりますが、十分意思疎通はできるそうです。

 ラオスにいるモン族同士の会話を聞いてみると、モン語の中にラオス語が混ざっているようです。これはモン語に無い言葉をラオス語の単語で代用しているというより、日本人が外来語を日本語に混ぜるような感覚であり、アメリカやベトナムのモン族と話すときは、意識してモン語本来の言葉だけで話すように心掛けるそうです。

 多民族国家ラオスで活動をしていますが、仕事や生活で様々な言語に接するケースがあります。ラオスの人々は異なる文化や言語、生活習慣の人々が共に暮らす中で、上手に共存しているなと感じることが多いです。プロジェクトの実施のために、私は前のめりになる傾向があり、時々それに歯止めをかけてくれる、ひと呼吸置かせてくれるスタッフに、今までもこれからも感謝しながら、ラオスの人々とともに自身を成長させていきたいと思います。

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