ラオスの物価

 元IV-JAPAN職員で、現在理事の飯村浩です。

 ラオスで暮らしていく中で、気づくことがあります。それは工業製品の多くがタイや中国、ベトナム製で、ラオス製のものがとても少ないことです。家電はもちろん、食品等においても同様で、ビールやタバコ、コーヒーといった嗜好品はラオス製が多数派ですが、インスタント麺や調味料、お菓子やドリンク等であっても、タイや中国の製品が多く見られます。

 内陸国で人口も少ないラオスでは、近隣諸国のように海外の投資による大量生産の工場も少ないため、工業製品は日用品であっても、大量生産したタイ製品を輸入または持ち込んだ方が安上がりなのかもしれません。しかし、ラオスに長年暮らしている私としては、なるべくラオス製品を購入するようにしています。

 国内に工場等、現金収入を得られる職場が少ないことは、一般のラオス人、特に地方出身者が、言語が近く、通訳なしでコミュニケーションできるタイへの出稼ぎ助長しているように思えますが、今回のコロナ禍で多くの人々がラオスへ帰国せざるを得なくなりました。

 出稼ぎに頼った生活を送らざるを得なかった家族は、経済的に苦境に立たされています。国際協力NGOとしては、現在の危機的状態をサポートするだけでなく、長期的な視野での、ラオスの人々のレジリエンス向上を目指さなければなりません。

 そういった意味で、IV-JAPANが長年取り組んできた職業訓練は「手に職」をつけて、持続的に収入を得られるようにすること。まさにレジリエンスの向上です。しかもIV-JAPANの職業訓練は短期間の訓練で効率的に、高い技術を身につける設計になっています。

 つまり何が起こるか分からない状況の中、ラオスの特に脆弱な人々が、安心して暮らせる未来のためのサポートすることが、今までも、今も、これからもIV-JAPANの使命なのです。社会も益々複雑化し、経済活動も難しくなっていくでしょう。だからこそ、IV-JAPANは人々に寄り添わなければならないと思います。

 私たち一人一人の力は小さいし、できることも限られていますが、皆が力を合わせれば、今の状況を変える大きな力になると思います。今がその一歩を踏み出すときではないでしょうか。そして、IV-JAPANの活動に共感してくれる仲間がもっともっと増えていくことで、その力が大きな変革を起こすことにつながると思います。