IV-JAPANに関わって得られたことと、次世代の方へのメッセージ

 顧問の飯村です。

 私とIV-JAPANの関わりは、ずばりIV-JAPANへの就職からでした。長年暮らしたタイから帰国後、就活を通してIV-JAPANと出会い、40代半ばになり、初めてNGO職員としてプロジェクトに携わりました。私はラオスに赴任し、ナーサイトン郡での職業訓練事業で、初めて訓練コース運営を経験しました。IV-JAPANの職業訓練は高いスキルで、まさに「手に職」により「自立」に直結する取り組みです。目立った産業がないラオスにおいて、少ない資本でも起業できて、生活にも身近な分野を選んでおり、ラオスの人のことを心から考えているなと感じました。

 ラオスにいて、私がラオスの人に抱いた印象とは「家族の絆が強く残っている」ということでした。地域が子どもを育ててくれる環境は、今の日本にはほとんど残っていないのではと思います。ナーサイトンでは、子どもたちが皆一緒に育っていきます。見知らぬ外国人である私(大人ですが)でさえ、家族やコミュニティーにいつの間にか溶け込んでいました。慣れない環境にいる私に、何かと気にかけてくれることも多く、何と癒されたことでしょう。

 ところで「国際協力とは、困っている人を助けること」。これは本当でしょうか?これは構図としては正しいのですが、実際には支援する側も助けられ、学ぶことが多いのです。進まない政府の手続き、訓練に挫折する訓練生、スタッフとの行き違いや連絡ミス、日本とは違う原因での失敗やトラブルもしょっちゅう。しかしラオス人の穏やかで正直な性格は、必ず良い方向に進むように作用し、歩みは遅くても、必ず前に進みます。不便な環境でも諦めない皆を見ると、自分の根気のなさや意思の弱さを恥ずかしく思うとともに、勇気付けられました。何かを成し遂げるには、知恵を出し合い、各々が笑顔で少しずつ歩み寄ることが大切であって、決して自分が優位に立とうとしたり、相手を非難することではないのです。私は日々学びでした。

 ここでもう一つ。私が考える、海外生活が自身にもたらす変化とは?新しい体験に感動することが始まりですが、長く暮らし、自身とは違うものに深く関わることで、自分というものが見えてきて、自分や自文化の良さや弱点も分かり、違いを認め、相手を受け入れられるようになります。視野が広がるというより、懐が深くなる感じです。

いま私が感じていることとは?現在海外渡航ができませんが、事態が改善したら特に若い方には海外での生活を体験し、国際協力にも関わってほしいです。国際協力への関わり方も様々です。海外駐在だけでなく、インターンや日本事務局での仕事、NGOへの寄付も国際協力です。ただこれからの若い方がNGOの海外事業に関わるなら、より専門性が求められると思います。語学力を高め、国内外のインターンシップや異業種で経験を積み、大学院での開発学専攻など、欧米並みのスキルが求められるかもしれません。厳しい道ですが、上に示したような感動や学びもあるので、未来の選択肢の一つに加えていただきたいと思います。

 

次の記事

NGOの収益性