1.パティスワラ村における作業環境の改善とトレーナー派遣による職業訓練の実施事業(2017年〜2019年)

 ネパール・ゴルカ郡・パティスワラ村にて、2017年から2019年まで「彩の国さいたま国際協力基金助成金」を活用し、「パティスワラ村における作業環境の改善とトレーナー派遣による職業訓練の実施事業」を実施しました。日本から手工芸製作の専門家を派遣、同村の女性グループを対象に、「作業環境の改善」と「職業訓練の実施」という 2 つの支援を実施しました。

縫製訓練
縫製訓練

1.作業環境の改善
 資機材の面で、縫製・裁断の作業に必要な作業環境が十分に整備されていなかったこともあり、村の女性たちは正確な作業を行うことが困難でした。例えば裁断の作業の際、布地を広げられるような裁断台が必要になりますが、そういった資材が確保されていませんでした。やむを得ず女性たちは地べたで裁断を行っていましたが、必ずしも平らな地面ではないため、正確に布を裁つことが容易ではなかったのです。
 この状況を改善するため、裁断机、作業机、イス等の縫製・裁断の作業に必要な資機材を導入しました。これらの資機材が導入されたことにより、縫製・裁断の作業環境が大幅に改善され、村の女性たちの作業は効率的かつ正確なものとなり、制作物の質を向上させることができました。

手刺繍訓練
手刺繍訓練

2.職業訓練の実施
 近隣の村から縫製・裁断のトレーナーを招聘し、村の女性グループ 20 名を対象に、3 ヶ月間の縫製・裁断の職業訓練を実施しました。
 最初の訓練では、村の女性たちは小さなバッグや食器洗いニット、鍋敷きやコースターといった簡単な日用品の作り方を学びました。次の都市の訓練では、訓練に参加した女性全員がニットセーター、サリーのブラウス、クルタ(襟無しのワンピース)、シャツ、ズボン、スカート、肌着、子ども服などの衣服を製作することができるようになりました。また、日用品づくりの技術も向上したことで、村内のローカルマーケットで販売できるような衣服・日用品の製作が可能になり、女性たちの経済的自立促進の一助となりました。
 また、衣服や日用品の縫製の職業訓練に加え、藁やトウモロコシ皮のマット(座布団)など、伝統的なハンディクラフト製品作成の技術の指導も行いました。その結果、村の女性グループは失われつつあった伝統工芸品作成の技術を習得することができました。これらの製品はすでに村外のローカルマーケットで販売が始まっています。村の中だけでなく、村の外からの収入源も獲得することができたことは大きな成果でした。

2.ネパール中部地震被災者支援事業(JPF、ジャパン・プラットフォーム)

 2015 年 5 月にネパール中部地震被災者に緊急支援事業を、その後、2016 年 4 月 よりネパール国ゴルカ郡タクマズラクリボット村(タク村)で被災者支援を行いました。
 2015 年震災直後のタク村での IV の活動は緊急支援品(蚊帳、石鹸、タオル、毛布等)を全 701 世帯(4500人)に配付しました。2016年からは、女性研修所を建設して震災被害者の女性のエンパワーメントを支援し、加えて全住民対象の保健・衛生の研修を実施して、保健衛生環境を整え、震災からの立ち直りを促進しました。

事業の概要:
1) 女性研修センター(Woman’s Learning Center: WLC)の建設
 女性が保健・衛生・防災研修・家屋の修復方法等の研修を受けられるよう、またすべての住民が自由に集会・冠婚葬祭・研修等を開催することができるよう、なおかつ震災支援の情報を適時に収集できるように、研修室 2+事務室+トイレのセンター建設しました。

2)一般的な保健・衛生教育
 各戸の洗い場整備しました。各戸に水道はなく、共同水場からバケツで各戸に水を運びます。それを庭の隅で食事用意、食器洗い、洗濯などに使えるようにしました。701 世帯から各 1 名参加して保健衛生の研修を受け、水場建設のためのセメント 1 袋、水タンクを受け取り各戸で建設しました。
 石鹸作りを行いました。石鹸は高いため通常は草木灰で食器洗い等をしていました。ローカルで入手できる材料で作れる石鹸作製方法を学び、衛生環境の向上を目指し、 まずトレーナを 12 名養成して、住民 200 名に技術を移転しました。

―住民の声から―
1.女性研修センター建設
・現地 NGO の代表タクさん:安心・安全に使える建物が出来て住民がどれだけ感謝しているか分かりません。出来る前から研修、集会の予約が入っています。このセンターの運営についてをしっかり皆で話し合って今後大切にしていきます。ありがとうございました。

・女性信用組合長ジョティさん:震災があり今まで女性が集っていた建物の内壁が崩れ安全が確保できなくなり、使えなくなりました。皆本当に気落ちして、「今後はどこで色々な情報を集めたり、子供の保健の事、ローンの相談などをしたらよいのか」と心配していました。余震への恐怖と生活への不安で一杯でした。こうして女性研修センターが完成して、心から感謝しています。

2.保健衛生研修・水場穿設
・住民ノルマヤさん:庭の隅で食器を洗ったり、遠い水場で洗濯をしたり大変でした。庭の隅がいつもジメジメしていました。研修を受けてセメントとタンクを貰い、水場の建設が出来、自分の家が清潔になりました。とてもうれしいです。今までこんな支援はありませんでした。

・タク村の村長:各戸が自分のアイディアを生かして水場の建設をしました。目に見える援助で、住民が喜んでいる事が良く分かります。ありがとうございました。

3.石鹸研修:
・トレーナーのサノさん:石鹸がこうやってローカルで手に入る材料で出来るのにはびっくりです。苛性ソーダをどれぐらい入れるのか計算が難しかったけど、出来るようになりました。楽しいです。

・住民ビノットさん:石鹸が気軽に手に入るようになれば清潔にできます。おもしろいです。