航空会社の度量

JALのマイレージを使ってラオスへ行っていた頃、成田で毎回もめました。バンコクもしくはホーチミンでの荷物の預け直しを迫るJALとそのままビエンチャンまで運んでほしいと願う私との駆け引きです。万一の事故に文句を言わないことを書面で約束して、必ず最後には勝つのですが、JALに言わせれば「大切なお客の荷物をラオス航空ごときにお任せできない」ということになります。

コンプライアンス遵守のつもりかもしれませんが、バンコクの空港の広さと混雑度、毎度変わるラオス航空のカウンターの見つけづらさ、乗り継ぎ時間の短さ…、本当にお客の立場に立てばJALのやっていることは善意どころか単なる保身にしか見えませんでした。ちなみに往路はJALに意地悪されますが、帰路は同じ行程ですが、何の抵抗もなく、ラオス航空は「成田まで」のタグをつけてくれました。

いまこの件に関してJALがどうなっているは分かりません。最近はめったにJALを使わなくなったからです。スタディツアーなどもベトナム航空を使うようになりました。預ける荷物の上限は20Kgですが、旅の目的がボランティア活動であることを記して事前に申請すれば、30Kgまで認めてくれますし、体調を崩したツアー参加者のために、機内に特別席を作ってくれたり、ラウンジを使わせてくれたりしたことがあり、とても客本位の考え方のできる航空会社です。このおかげで10年まえのスタディツアーでは200Kg分を余計に運ぶことができ、ラオスのこどもたちへのお土産が増えました。

ところでラオス航空の日本への直行便はどうなったのでしょう。飛行距離の問題でまだ本決まりでないのなら、日本政府は救いの手を差しのべてもいいのではないでしょうか。国益のために新幹線をあてがった中国のようにガツガツせず、航空機の譲渡や技術指導などをさりげなくやってほしいものです。客が集まれば早発するし、CAが仕事をしやすいように客を前後どちらかの席に集めるし、JICAの職員でも敬遠してかまわない危ない機種もまだ使っているようですが、ラオス航空はラオスへ入るとき、気持ちを鼓舞、浄化させてくれる神聖な航空会社でした。(副代表理事 池田敏秀)