ラオスで桜が咲いた!

                 代表理事 冨永幸子

ラオスの桜の開花が見られるのは乾季の12月から2月ごろまでの3カ月間です。

首都のビエンチャンでは見られませんが、ラオス北東部のハノイに近いフアパン県で見れます。ビエンチャンからはおよそ900kmくらいありますので、飛行機で1時間10分、長距離バスだと8時間くらいかかります。もともと桜がラオスにあったわけではなく、日本から移植して、苦労の末ようやく成功しました。

フアパン県の県都サムヌアは織物でも有名で、世界中からバイヤーや織物愛好家が訪れます。また、もう一つの顔は1960年代に人民革命党の活動の中心地だったところで有名です。サムヌアのビエンサイ村には200以上もの洞窟があり、当時洞窟には会議室、病院、幹部等の住居があって、現在は公開されていて、今では一大観光地になっています。

私も、20年前くらいに公開されたときに直ぐに革命本部があった洞窟等を見に行きました。

「アジアの障害者活動を支援する会」(ADDP)という日本のNGOがラオスの障害者支援の調査で、フアパン県に障害者が多いことが分かり、障害者の自立支援をすること、また、折しもフアパン県知事からも桜公園の構想を聞き、是非、桜公園を実現したい、ということになったそうです。

2013年7月に日本から5本のソメイヨシノの苗木を持参して、ビエンサイ村の農家の一角に試験的に植えてみたところ、翌年、見事に桜の花が咲いたのです。それに勇気をもらって、2014年2月に日本のライオンズクラブや他団体からの支援でおよそ400本の桜の苗木を植えました。ソメイヨシノの他にカンヒ桜(沖縄緋寒桜)、枝垂れ桜(しだれさくら)、大島桜などです。当初から京都の庭師の奥田龍司(りゅうじ)氏が同行して、粘土質の土壌改良、蟻塚や害虫の駆除方法等を指導して、まずはビエンサイの農地に植えたそうですが、ラオスの気候が分からず苦労したそうです。ラオスの雨季は5月ころから10月頃まで続きますので、雨季の根腐れ対策も、オンラインで指導しました。

村の人も総出で植樹を手伝ったのですが、障害者の人たちも大活躍しました。

しかし、ソメイヨシノは当地になじまず全滅しましたが、400本の内、その中の他の種類の桜250本が元気に育ち、現在は6人の聴覚障害者が「桜守」として維持管理に当たって、障害者の自立にもつながりました。

庭師の方も、土壌や気候等が分からずご苦労されたようですが、現在は息子さんがいらして指導に当たってくださっているようです。

それと、地方には障害者を受け入れる学校もないし、家族からも孤立してる障害者が多くて、体は動いてもゼロからのスタートで、手話を学ぶところから始まりました。

桜公園の実現には、まずは農地で桜を強く育て、次にいよいよ土壌改良された60ヘクタールの「日ラオス友好桜公園」に移植しました。そして満開の桜公園が実現しました。

この公園はカイソン広場、歴史博物館の隣に位置してます。ラオス人民民主共和国の初代首相が、カイソン・ポムウイハーンで、カイソン広場には同氏の大きな銅像が立っています。

そして、今年2023年1月に更に150本の桜が追加植樹されました。今回も農地で強く育ててから桜公園に移植するそうです。

今年2023年4月には3000メートルの滑走路の飛行場が桜公園の近くにオープンしますので、益々観光地として期待が高まっています。

私もフアパン県のお隣のシェンクアーン県で梅の木を見つけて、ビエンチャンに持ってきたのですが、枯れてしまいました。植物をきれいに咲かせることは土壌改良や気候に左右されるなど、大変な事なんだなぁ~と今更ながら思いました。