物価高に自衛するたくましい人々

代表理事の冨永です。

ここコロナ禍の2年間で物価が上がってしまい、ほとんどの生活用品や食品がタイからの輸入に頼っているラオスは、品物も不足がちで、輸入されていないものも多いのです。

まず一番にガソリンの値上げがすべての物価高に影響しています。

6月まではガソリン不足で、それも売るガソリンがなくて閉鎖しているお店も多く、口コミで「どこそこはあるよ」と聞くと、そこへ殺到するので、ガソリンスタンドに長蛇の列ができ2~3時間待ちは普通でした。

やっと7月に入り、だいたい大通りに面している店はガソリンを売っていますが、なんと、コロナ前の倍額です。1リットル約192円です。今月の8月で政府ストックのガソリンが底をつき、9月からはまたガソリン不足でガソリン買いに長蛇の列ができるのではと言われています。

私はコロナ過で日本に一時帰国していたため、車を動かさなかったので、タイヤとバッテリーを交換しないといけなくなり、タイ製のタイヤは品切れで商店に在庫はなく、ドイツ製の高いタイヤしかありませんでした。1本およそ16,000円、バッテリーはおよそ17,000円でした。調理用のプロパンガスは何と2倍になり、私の家ではIH電気で料理するようにしました。電気代はそんなに上がっていません。一人住まいの自宅で月およそ2,100円。

水道代もメコン川の水をくみ上げて浄水場でろ過して、水は自給自足ですのでとても安いです。1立方メートル2,300キップ(およそ21円)。自宅で月290円ですが、ろ過するときの薬品がタイからの輸入なので、今後値上がりするだろうとの専門家の話しです。

そこで政府は8月1日に4年ぶりの改定でラオスの最低賃金が月110万キップ(10,120円)から130万キップ(約12,000円)に上がりました。段階的に来年2023年5月1日には150万キップ(13,800円)にまで上がる予定です。

最低賃金を決定するのは労働社会福祉省、労働組合連盟、商工会議所の3者の話し合いで決めますが、なかなか合意に至らず段階的値上げとなりました。最低賃金の改定を受けて雇用主側は給与の値上げを考えています。

基本的な米や野菜はラオスでは自給自足できているのであまり値上がりはしてなく、それはラオスの素晴らしいところです。コメの値段は1キロあたり約110円、もち米は1キロ92円です。ラオスの民族で65%を占めるラオ族の常食がもち米なので、もち米の方が安いです。

大方のラオス人の家では果物の木を植え、季節になるとマンゴー、パパイヤ、バナナ、アボガド、パッションフルーツ、ジャックフルーツ等を植えて、果物を買うことはありません。

私の家にも大家さんが植えていたので、マンゴーなどはよそ様に差し上げられるほど毎日50個ほど取れました。ただ、パパイヤはカタツムリに芽を食べられて、雨季の今でも1本のパパイヤに3~5匹のカタツムリが張り付いているので、毎朝カタツムリ退治をしています。

お肉は軒並み25%ほど値上がりで、現在は豚肉1キロ約460円でしたが、今週は644円にもなり、あまりにも値上がりしたので、政府は消費者保護のため豚肉をビエンチャンの2カ所で安い価格で販売し始めました。これで価格をコントロールするそうです。安くなるといいのですが。鶏肉は安く1キロおよそ400円ですが、鶏は庭で飼っている人が多いですね。

卵もコロナ以前は1個10円くらいでしたが、今は18円です。

ほとんどのラオス人は料理は七輪で薪か炭で調理するので、炭1束(大)がおよそ500円で、1か月家族3人の料理ができます。

また、スーパーでは買わずに、市場で買うようにしていると。なぜなら、スーパーには物はたくさんあっても(一時は輸入品不足でスーパーの棚はガラガラでした)、税金で1割ほど高くなるので、と言ってました。つまり市場で1坪ほどの店に物を並べて商売している人は税金を払ってないらしいです。

昆虫やカエルは日常的に食べるし、時に蛇を捕まえたときは食用に料理します。

私もカエルの唐揚げは食べたことがあります。淡白なお味でおいしかったですよ。食用に養殖している人もいます。昆虫食はたんぱく源として政府も奨励しいる伝統食で、コオロギ、バッタ、サソリ、山のゴキブリ(町のゴキブリの2倍の大きさ)等を食べます。

コロナ過でよかったことは外出制限があって、夫が外でビールを飲むことがなかったので、お金を使わずに済んだと近所の奥さんたちは言ってます。今も引き締めているけど、元に戻りそうと。ビールは辞められないのでしょうね。

中には髪の毛を長く伸ばして、50cmほどになるとおよそ1,400円で売れるそうです。そういえば、ラオスに日本のウイッグメーカーの下請け工場もありますね。

結婚前の女性はガムポームという丸いお団子のような伝統髪型を結婚式で結いますので、髪を長く伸ばしますが、既婚女性は髪はすぐ生えるので、構わないと言ってます。

本当に偉いです。皆節約して、物価高を乗り切ろうとしていますが、それが通常の生活の仕方で、贅沢をしない、輸入品を買わなければ恐れることもないですね。

政府もラオス産を奨励して、例えばハンドバッグなども竹やラタン(籐)で編んだものは環境にも優しいので、ラオスで流行してますよ。

ラオスのように日本も自給自足ができるといいのですが。

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