ラオス南部の職業教育校に行ってきました。

木工プロジェクト、プロジェクトマネジャーの田澤克之です。

 現在、IV-JAPANでは、JICA草の根技術協力事業「ラオス木工職業教育校におけるトレーナーの技能向上プロジェクト」を実施中です。このプロジェクトでは、カウンターパートのラオス職業開発機関(以下、VEDI)と協力して、ラオスの職業教育校の教員・学生への家具製作指導、Youtubeへの家具製作動画のアップロードなどの活動を行っています。

 4月20日から29日までラオス南部の職業教育校を訪問し、IV-JAPANとVEDIが実施した家具作りのトレーニングに参加した木工学科の先生方の授業を見学してきました。それぞれの学校で、一生懸命に学生にトレーニングで学んだ技術を伝えようとしているところを見ることができました。

1.カムムアン県職業教育校

 カムムアン県職業教育校のコンサワン先生は、2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りのトレーニングに参加しました。今回、カムムアン職業教育校の1年生の学生が1人もいなく、また、2年生はインターンシップに出ており登校してしていないため、学生がいない状態での模擬授業となりました。やりにくい部分もあったと思いますが、コンサワン先生の丁寧で精巧な家具作りの指導の様子を垣間見ることができました。コンサワン先生は、元々は彫刻の先生ですが、教員をする中で少しずつ家具作りを学んでいき、今ではラオスでも有数な木工技能をもつ先生となっています。

2.アッタプー県職業教育校

 アッタプー県職業教育校のジョム先生は、2018年と2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りにトレーニングに参加しました。絵の上手なジョム先生は、ホワイトボードにこれから製作するパーツのほぞの大きさ等を描き、学生にパーツの製作方法を説明していました。特に、それぞれのパーツに鉛筆で、ほぞの位置などを書き込むときには、細かく指導しており、裁断前に正しい線を書いておくことの大切を伝えていました。また、その後の裁断などでは、先生の手を借りずに裁断等を行っており、学生たちが家具を作りなれている様子が伺えました。

3.セコン県職業教育校

 セコン県職業教育校のコンカム先生は、2018年と2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りにトレーニングに参加しました。コンカム先生は、教室で図面の説明を学生にしてから、実際の家具作りを進めていました。また、加工が難しいパーツについてはベニヤ板に原寸大の図面を書かせてから、実際の各パーツの裁断等に取り掛かっていました。今回は見ることができませんでしたが、家具作りの前には、それぞれのパーツの原寸大の図面を学生に書かせているということでした。学生がしっかり図面を理解してから、実際に家具の製作に取り組んでいる様子を見ることができました。

4.サラワン県職業教育校

 サラワン県職業教育校のペーカム先生は2018年に、ソムサイ先生は2019年にVEDIで実施した10週間の家具作りにトレーニングに参加しました。ペーカム先生、ソムサイ先生ともに建築の先生で、本来は木工の先生ではありません。しかし、学生には、家具作りの指導をすることが必要があるということで家具作りのトレーニングに参加し、実際に学生に家具作りの指導を行っています。まだまだ経験が少ない部分はありますが、トレーング参加してから少しずつ家具の製作技術を上げてきています。

5.ボリカムサイ県職業教育校

  ボリカムサイ職業教育校のガンニャー先生は、今年の1月に実施した5日間のクッション椅子作りに参加しました。ガンニャー先生からは、ボリカムサイ職業教育校の木工教室の設備等はひどい状態だと聞いていましたが、本当に木工機械が何もなくびっくりしました。このような環境の中で家具作りを指導するのは大変ですが、IV-JAPANから提供した図面のキャビネットをなんとか製作している様子を見ることができました。

 それぞれの学校の木工科の先生の木工技術には大きな差があるのは事実ですが、すべての先生が、IV-JAPANとVEDIが実施したトレーニングで学んだ家具作りを学生たちに伝えていることを見ることができました。

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