VEDI卒業後の進路について

 プロジェクトマネジャーの田澤です。

 現在、IV-JAPANでは、JICA草の根技術協力事業「ラオス木工職業教育校におけるトレーナーの技能向上プロジェクト」を実施中です。このプロジェクトでは、カウンターパートのラオス職業開発機関(以下、VEDI)と協力して、ラオスの職業教育校の教員・学生への家具製作指導、Youtubeへの家具製作動画のアップロードなどの活動を行っています。

 VEDIには木工を専攻している学生はいますが、実技の時間が週1回程度はあるものの、主な授業内容は職業教育校の教員になるための勉強になります。日本的な感覚で言えば、VEDIは職業教育学部を有する単科大学となります。学生は、地方の職業教育校からの学び直しにきた教員と、職業教育校の教員を目指す学生になります。

 卒業後は、学び直しに来た教員は、元々教えていた学校に戻り再び教壇に立ちます。他方で、教員を目指してVEDIで勉強しにきた学生はというのが、今日のブログの内容です。

 去年の9月に卒業した木工専攻の学生は全部で7人です。1人は、学び直しの教員だったので、今は元いた学校に戻り木工を学校で教えています。残りの6人の中で職業教員校の教員になったのは何人かというと、1人はVEDIでボランティア教員になろうと手続きを進めているものの、教員になった者は今のところゼロです。2人は地元の県で細々と家具を作っています(注文はあまりないようです)。その他の者は、小売店に働きつつ軍人になることを目指している者、警備員をしている者、鉱山関係の仕事をしている者です。

 学生も、教員になるのは難しいと分かっていて入学して来るようですが、現実はもっともっと厳しいようです。

 以上は木工学科の例ですが、他の学科の学生も同様に職業教育校の教員を目指しVEDIに入学してきてもなかなか正式な教員になれない現状があります。

 また、彼らは、皆、職業教育校で2年間勉強してからVEDIで3年勉強していて、全部で5年間学んでいます。この5年間学んだことを活かして、家具工場でマネジャーとして就職する、あるいは自分で独立して家具工房を開くなどすることができれば、学んだことを活かせるということで良い進路だと思います。

 しかし、現実には、彼らの木工技能はけっして高くなく、民間の家具工場の経営者から見て、魅力的な人材となっていません。また、独立しようにも、資金的な問題が立ちはだかります。

 このプロジェクトでは、地方の職業教育校の木工科教員の技術向上も含めて、教育力向上が目的になっています。これまでは、何年勉強しもて家具を作れない学生を量産してきた側面もありますが、このプロジェクトを通して家具作りを学んだ地方の職業教育校の木工科教員がきちんと家具を作れる学生を育てることができるようにしていきます。(もちろん、良い先生もいない訳ではありません。)

 話は少し飛躍しますが、ラオスに働きに来るベトナム人で多い職業は、女性は美容師、男性は大工・家具職人です。ラオスには、木工産業がありますが、ラオス人はベトナム人に及ばないの現状です。残りのプロジェクト期間は残り半年と少しとなっていますが、ラオス人がラオスの木工産業で活躍できるように職業教育校の木工科教員の教育力向上のために努めていきます。