IV-JAPANのこれから

理事の池田です。

 企業の平均寿命は23年。NPOは10年弱。NPOの継続がいかに難しいかが良くわかります。(IVが35周年に向かっていることは誇るべきことです)。短命の理由は経済的な側面など沢山ありますが、最も大きいのは「理念を時代に呼応して磨き上げ、次世代につなぐ努力の不足」だと思います。

 私は25、30周年記念報告会の実行委員長を務めましたが、節目として2つの大きな柱を考えました。一つは『同窓会雰囲気の深化』です。代表を輪の中心に置く同志的・家族的結束は基礎体温として必要なことですが、それは時に将来の発展の足かせになるときもあります。ですから成長のために『10年後のIVのビジョン』を描く必要がありました。それがもう一つの柱でした。前者は成功裏に終わりましたが、後者については大学生や企業(特に資生堂美容学校)の参加を仰いだ程度で、新しい方向性を提案できませんでした。

 コロナ禍の今、あらためてこの命題について理事会などで議論しています。しかし組織の継続性を重視するとIV内部の組織論になりがちです。営利を主目的としないNPOがそればかりを追及するのは本末転倒です。あくまでIVの活動の対象となる人の幸せを念頭に置いたうえで、組織がどうあればいいかを考えたいと思います。

 「寄付金と公的機関の支援を受けて、社会的弱者を支援する善意の活動」これが私の受けとめている活動指針ですが、その内容がIVの設立時とほとんど変っていないのはないかと思うときがあります。活動原資の集め方やその使い方が旧態然としているのは組織の特徴上やむを得ないことですが、ラオスの成長に合わせるべき肝心の活動内容が小さな変化幅に甘んじているような気がします。ラオスの人たちの価値感の変化に敏感ではない気がします。ひょっとしたら“赤土の舞う凱旋門の前を素足で歩くフランスパン売りの少女”を思い浮かべて社会貢献事業を考えてはいませんか。

 何かを与えて喜んでもらう方法論はまもなく通用しなくなりなります。(私の仕事である化粧品でも)良い商品と言うのは、肌に良いものを刹那的に与えるものではなく、肌本来のチカラを引き出すものだと考えられるようになっています。栄養失調より糖尿病が怖い時代、欠ける悩みより余る悩みの時代…、与えるだけのスキンケアが過去のものになっているように、急成長中のラオスの人たちがIVに望むものは確実に変化していると思います。それを的確に判断し、高い土俵からではなく、自然に受け止めてもらえる活動にチェンジしたいものです。それが間接的にIVの組織の強化につながると思います。

 職業訓練の美容理容コースを開設するとき、「ラオスの子もおしゃれになった。そろそろ…、」と代表は言いましたが、それから20年、その度合いは桁違いになっているようです。ひょっとしたらネット以上の美容知識は教えられないかもしれません。教える側のスキルは教えられる側のニーズで磨く、この基本に忠実でありたいものです。