日本人家具技術者による特別講義を実施しました。

 1月14日にラオス・ビエンチャンのビエンニョム・ファニチャー(Viengniyom Furniture)に勤務する山本奮さんに、ラオス職業開発機関(以下、VEDI)に来ていただき、特別講義を行っていただきました。ビエンニョム・ファニチャーは、日本の家具の産地で有名な大川市の家具工場と提携を結び、日本でデザインした家具をラオスで製造販売しており、ラオスでもっとも注目を浴びている家具工場の1つです。

※ビエンニション・ファニチャーのFBのページ

https://www.facebook.com/Viengniyom-Furniture-Collaboration-with-Japan–109709377264514/?ref=page_internal

 山本さんは、日本の家具工場で勤務した後に、IV-JAPANで木工の専門家とし家具作りを指導し、また、JICAのプロジェクトにて日本の家具工場のラオスへの進出をサポートするプロジェクトに関わるなど、ラオスの木工業界に広く深い知見をお持ちです。

 今回は、将来、家具工房を開きたい、あるいは職業教育校などで家具職人を育てたいという目標を持つ、VEDIの木工学科の学生のためにその経験から、ラオスの木工産業の将来について話してくださりました。

 なぜラオスの家具は価格が安いのか、どうすれば付加価値をつけることができるのか、どうすれば家具産業を育て海外に輸出できるような家具を作ることができるようになるのかが、今回の講義の大きなテーマでした。

 最初に話されたことは、ラオスの家具は、これまでのように木材の値段を基準に家具の値段が決められる状態から脱却する必要があるということです。ラオスの家具が国内外で認められ、近隣諸国からの輸入家具と競争するためには、確かな技術をもって加工料金をしっかり取れるようにすることが必要であること、また、そのためにデザイン性を高めることが大切とのことでした。

 デザイン性を高めるときは、デザインは、生まれた才能ももちろんあるが、それだけなく、見たり、考えてきたものの量でつく能力であり、常日頃から美しいデザインを意識することの大切であると話して下さりました。美しい高級車、バイク、家、レストラン、ホテル、アパート、お寺、お皿、調理器具、ラオスの布、自然。いろんなところに美しいものは転がっているとのことです。

 そこから、美しいものを見たらどうやって作ってるのか、どうやって使うのか、何でできてるのか、あるいは家具に使うならどこにどうやって使うのかをイメージするように学生に訴えました。イメージをたくさんすれば、イメージする能力は鍛えられ、このことにより、より良い家具のデザインができるようになります。

 VEDIの学生たちは、このような角度から家具について考えたことがないため、今回の講演は目からウロコのようでした。VEDIに限らず、ラオスの職業教育校の木工教育は木工の技術面に重点が置かれがちですが、この講演を通して VEDIの学生たちは、デザイン面に意識することの大切さを学ぶことができました。

 また、山本さんからのラオスの家具産業がこれから大きくなるかとの問いに対し、学生からは「ラオスの木材の状況をみなければいけない」「ラオス人の木工技術を高める必要がある」「美しく品質の良い家具を作る必要がある」などの積極に意見が述べられました。今回の講義を通して、学生たちは、頑張って競争力のある家具を作りたい、また、ラオスの将来の木工産業の発展のために頑張っていこうという気持ちを強く持つようになりました。

 最後になりましたが、お忙しい中、VEDIで特別講義を行っていただいた山本奮さんに心から感謝の気持ちを申し上げます。