NGOの収益性
副代表の池田です。
IV-JAPAN(以下、IV)の仲間に入れてもらってはや20年、副代表なのに蚊帳の外に居ることが多いのですが、大きな課題は共有しているつもりです。「収益体質への脱皮」、本気で考えないといけない時期にきていると思います。活動の精神的支柱が手弁当にあるのは変わりませんが、職員の雇用も守れないのに、「武士は食わねど…、」と高潔を貫くのはもはや時代遅れを通り越して罪悪です。夢や使命に忠実になるのに貧しくてはいけません。
私は化粧品会社に居たこともあり、化粧品を通していくばくかのお金をIVに落とし、うまくいけばそのルートをIVの収益基盤の一部にしたいと考えました。「肌箋集28」というブランドを作ったのは2011年のことで、化粧品を入れる箱の代わりにラオシルクに着目し、訓練校の生徒さんにポーチにしてもらいました。また木工の生徒さんには銘木カリンの木で店頭什器を作ってもらいました。中国から買えば安価で買える時代に、相場の数倍でラオス(IV)から買いました。タイの水害騒ぎもあり、重い什器の運搬をスタディツアーに参加した人にお願いしたり、苦労の産物となりました。シルクのポーチはすべて使い切りましたが、このブランドの成長が遅々としており、その後のリピート生産をお願いできず申し訳なく思っています。什器については取扱店全店に配布しておりますが、数年前研修で来日した当時の木工の担当者が偶然川越の店で自分の作ったものをみつけ感動したという裏話もあります。
また業界紙に毎週コラムを書いていますが、200篇たまるごとに製本し、その売り上げを寄付することにしております。これまで2回出版しましたが、IVの収益性確保にはあまり貢献していないようです。また都内2店と四国の大きな化粧品店でシルクのショールを販売したことがありました。完売することができましたが、商品の追加供給の物流と商流にメドが立たず、そのままになっています。IV発の何かを考えるとき、ヒントになる商売だと思われます。
思い出すのは15年前、メコンに浮かべた船の中で、訓練校の卒業パーティが行われました。50人近く居たと思います。サプライズは日本に研修に行ける優等生の発表でした。ノイさんとニョドさんが選ばれたのですが、彼女らの驚いた顔が忘れられません。その旅費、そしてこの夜のパーティ費用、IVには意外とお金があるのだと思ってしまいましたが、ゴカイでした。パーティ費用は私持ちでした。
JICAや外務省の胸三寸で決まる活動があってもいいですが、IVがIVらしく活動していくためには金銭的な余裕を持たなくてはいけないと思います。37歳で早世した希代のCMディレクター杉山登志は「リッチでないのにリッチな世界などわかりません。ハッピーでないのにハッピーな世界など描けません。夢が無いのに夢を売ることなどは…、」と言いました。私が入社した年のことですが、資生堂のデザイナーたちは一貫してこのスタンスでした。NGOも夢を売るのならこの気概が必要だと思います。収益事業について皆で考えましょう。
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