ラオスで茶道、え~?

 代表理事の冨永幸子です。

楽器キム(琴)を演奏

 当初ラオスではIV-JAPAN事務所でたった一人の日本人だったのが10年続きましたが、ラオスの楽器キム(琴)に出会って、孤独を紛らわすことができ、ラオスの音楽や文化に親しむことができました。

 そのうち本業は国際協力の仕事をしながら、日本では私のような未熟者に経験できないような茶道や華道を紹介するお話が舞い込んできました。熱帯の花樹は幹が大きくて、日本の剣山で活けるには間に合わず、いくつかの剣山を組み合わせたり、花器をいくつか使ったりして、ホテルのホールや宴会場に大きな花を活けました。とても良い経験になりました。ラオスには生け花用の枝や花があまり売られていません。主に花材はタイから輸入されたバラとか大輪の菊など、枝物はあまり見つからず、自分で作るより他ありませんでした。竹や枯枝をスプレーで色付けしたり、竹を割いたり、丸めたりして、花材を工夫するのは楽しいものでした。

ラオスの布で作った着物と帯

 来年喜寿を迎えますが、京都の表千家家元から喜寿表彰を今年いただきました。残念ながらコロナ禍で京都の授賞式は中止になりましたが、家元の花押が書かれた六角香合の記念品が贈られてきました。茶道を通していろいろなところに興味が湧き、特にラオスの手織物は、日本で言う山繭を使用した紬が主流ですが、織柄や草木染の色が素晴らしく、何枚か着物や帯、お茶の袱紗にも仕立てて使っています。

 25年前にラオスへ来た頃はタラートサオ(朝市)にもたくさんの骨董品が売られていて、そこから茶道に使えそうなベトナム製の蜻蛉茶碗や銀製品の水次やかん、タイ製の陶器スンコロクなど見つけるのがとても楽しかったです。でも残念なことに今はあまり見かけなくなりました。ラオスでも伝統的な竹製品は花入れや炭斗に使えますし、最近は焼き物の花瓶なども村落開発で作られています。

 外国に行くたびに抹茶茶碗に使えそうなお茶碗を購入して、その国の方が見えるとそのお茶碗でお茶を点てるのも楽しいものです。最近シンガポールの友人から天目茶碗が送られてきました。現代の天目がシンガポールで作られているのです。中国では禅語の掛軸や清朝末期の水指し、ミャンマーでは根来の原形の漆塗りやタイでは青磁の陶器や漆の菓子器を見つけました。ドイツでもクリスタルで作られた水指し、フランスのピカソの娘デザインのクリスタル茶碗にも出会い、全て見立てで茶道に使います。元もと、茶道は「唐物」と言って外国から渡来したお道具が珍重され使われてきました。正倉院の御物の中にはペルシャはじめ世界各地の布があり、それを復元して、茶道では袋物や袱紗に使われています。茶道はとてもインターナショナルなのです。

 ラオスで茶道教室を長年主宰しています。お道具や畳もせっせと日本から運びました。お茶好きの各国人が集まり、月1回のお稽古は満員御礼で今後どうしようかと思案中です。

 これからは本業を従に、茶道を主に生きたいと思っています。もうそれが許される歳でもあるでしょう。

ラオスでの茶道教室の様子